自作パソコンでは、PCケースの3.5インチベイのシャドウベイがハードディスクドライブ(HDD)用であり、一般的にはプログラムやデータを保存するために3.5インチ内臓HDDを使います。
このHDDに替わるストレ−ジデバイスとして、最近SSD(Solid State Drive)が台頭してきており、2008年初秋にIntelが高速SSDを発売したことを契機に、それまで高価であったSSDの価格が急落して、一部の用途でHDDを代替して使用するという動きが出始めています。
SSDは、その特性上ノートパソコンで使うことが適していますが、デスクトップパソコンでも、Windowsをインストールする起動ドライブに高速SSDを使うことにより短時間で起動可能となるというメリットがあります。
SSDは、半導体企業、ドライブメーカーなど技術力のある企業が参入して開発競争を続け、2009年に入って高速なSSDの価格が安くなっており、このまま順調に値下がりしていくと、1〜2年のうちに起動ドライブはSSDを使う時代がくるでしょう。
SSDのデメリットは、書き込み回数に制限があり寿命が心配であること、シーケンシャル書き込み速度が遅いこと、コストが高く大容量化が難しいことが挙げられていましたが、既に執筆時点で、HDDに比べて容量当たりの単価が高いこと、つまり価格の問題以外はクリアされています。
ゆえに予算に余裕があれば、データ用のストレ−ジは極めて安い大容量HDD、起動ドライブはSSDと組み合わせて使うことが理想的ですが、まだ一般のユーザーにはSSDは高価でしょう。
3.5インチ内臓HDDを選ぶポイントは、ホームユースでは速度、発熱性、静音性ぐらいであり、どうしても重要なデータを保存する場合は、むしろ企業向けの高信頼性HDDを選ぶことになります。
データの転送速度については、回転数が5400rpmより7200rpmの方が、接続インターフェースはUltraATA100よりUltraATA133さらにSerialATA、SerialATAUの方が、キャッシュ容量は8MBバッファより16MBバッファさらに32MBバッファが、また1プラッタ容量の大きいものの方が速いという理屈になります。
こうした要因のなかで、現実に各メーカーから発売されている最新HDDは、いずれも接続インターフェースが3Gbps対応SerialATAUとなり、各社のHDDで差がある事項としては、キャッシュ容量と1プラッタ容量です。
実は、パフォーマンスに最も影響があるのは回転数ですが、回転数10,000RPMのWesternDigitalのRapterシリーズ以外は高速ドライブでも7200rpmと同じです。
このRapterシリーズは、容量300GBのWD VelociRaptor「WD3000HLFS」が執筆時点のHDDとして最速ですが、一般的には手が出せる価格ではなくマニア向けでしょう。
同じ回転数7200rpmのHDDの中では、各種ベンチマークテストで1プラッタ容量が大きいドライブが速いという結果が明らかになってきており、最新の各社のHDDは、1プラッタ250GB、1プラッタ320GB、1プラッタ333GB、1プラッタ375GB、1プラッタ500GBと1プラッタ容量を拡大して高速化を図っています。
速度の面で大雑把に解りやすくいうと、キャッシュ容量もパフォーマンスに影響するものの、それ以上に1プラッタ容量の拡大がパフォーマンスの向上に貢献するということであり、さらにプラッタ容量の拡大によって大容量化が可能となります。
HDDの発熱性と静音性は、雑誌のテストレポートか使っている人の評判をインターネットで調べるのが手っ取り早いでしょう。
かつて自作パソコンのHDDは、Quantam製が定番でしたが、すでにQuantamがMaxtorに吸収され、またIBM製も一時期圧倒的なシェアを誇りましたが、このIBMのHDD部門を日立製作所が買収し、2003年1月から日立の100%子会社の日立グローバルストレージテクノロジーズがHDDを生産しています。
さらに2005年末に、SeagateがMaxtorを買収し、2007年にSAMSUNGが新たに参入しましたが、各社とも新しいモデルは、コマンドを並び替えて効率的に実行することでパフォーマンスを向上させるネイティブ・コマンド・キューイング(NCQ)をサポートするSerialATAU対応HDDとなります。
SerialATAのSATA規格は、2000年にシリアルATA1.0規格、2004年にNCQなどが付加されたシリアルATA2.0規格となり、その後、外部eSATA接続など新たな仕様が策定され、将来は転送速度がさらに倍となってシリアルATA3.0規格となるロードマップがあります。
現在は、各社ともチップセットとドライブ間の転送速度が3GbpsのSATAU対応HDDの時代ですが、ドライブ内部の転送速度の限界(最速のWesternDigital製VelociRaptorで120MB/秒で持続、つまり1Gbps未満)から、SATA(1.5Gbps)でもインターフェースがネックとならず、接続インターフェースの転送速度が速くなっても効果は現れないのです。
しかし、そうは言っても、使い勝手が悪いIDEパラレルATA接続のHDDは、もう選ぶ時代ではなく、各社の大容量HDDは、いずれも3Gbps対応SATAUHDDとなります。
なおSATA接続のHDDを購入しても、HDDにはSATA電源供給ケーブルやSATA信号ケーブルは付属していなく、普通は電源ユニットに付属しているSATA電源供給ケーブルやマザーボードに付属しているSATA信号ケーブルで接続しますが、もし不足するようであれば別に買い足す必要があります。
執筆時点で各社の主要HDDは、日立のDeskstar 7K1000.BシリーズとP7K500シリーズ、SeagateのBarracuda7200.11シリーズとBarracuda 7200.12シリーズ、WesternDigitalのWD Caviar Blackシリーズ、WD Caviar Blueシリーズ、WD Caviar Greenシリーズ、SAMSUNGのSpinpoint F1シリーズとEcoGreen F1/F2シリーズがあります。
WesternDigitalのWD Caviar Blackシリーズは、2008年初夏に1プラッタ333GB、32MBキャッシュ、デュアルプロセッサを搭載する高速大容量HDDの新シリーズとして登場していますが、WD Caviar BlueシリーズはWD Caviar SE16シリーズが改称、WD Caviar GreenシリーズはWD Caviar GPシリーズが改称されたものです。
また、SAMSUNGは、2008年1月にSpinpoint F1シリーズでHDD市場に新規参入し、現在は消費電力を抑えた回転数5400RPMのEcoGreen F2シリーズのHDDが主力となっています。
HDDは大容量化が進み、2007年4月に日立から初の1TB(1000GB)という単位の大台に乗る大容量HDDが発売され、続いて2007年9月と10月にSeagateとWesternDigitalも1TBのHDDをラインアップとして揃え、さらに前述のとおり2008年に入ってSAMSUNG製の1TBのHDDが流通しています。
<容量1TBのHDDリスト> (2009年8月現在)
メーカー シリーズ名 |
容量1TBの HDDの型番 |
スペック・メリット等 |
日立 Deskstar 7K1000.B |
HDT721010SLA360 |
7200RPM・キャッシュ16MB 1プラッタ375GB 2008年10月発売 |
Seagate Barracuda7200.12 |
ST31000528AS |
7200RPM・キャッシュ32MB 1プラッタ500GB 2009年2月発売 |
Seagate Barracuda LP |
ST31000520AS |
5900RPM・キャッシュ32MB 1プラッタ500GB 2009年6月発売 |
WesternDigital Caviar Green |
WD10EADS-L5B |
IntelliPower キャッシュ32MB 1プラッタ333GB 2008年9月発売 |
WesternDigital Caviar Green |
WD10EADS-M2B |
IntelliPower キャッシュ32MB 1プラッタ500GB 2009年5月発売 |
WesternDigital Caviar Black |
WD1001FALS |
7200RPM・キャッシュ32MB 1プラッタ333GB 2008年6月発売 |
SAMSUNG EcoGreen F2 |
HD103SI |
5400RPM・キャッシュ32MB 1プラッタ500GB 2009年1月発売 |
この1TBのHDDの価格の推移は、WesternDigitalの「WD10EACS(キャッシュ16MB)」が2007年冬に、2万円を切ってパーツショップの特価販売に使われるなど低価格化の先陣を切り、以降半年の間にその半値の1万円程度と大幅に値下がりし、2008年秋に登場した「WD10EADS(キャッシュ32MB)」も引き続きお値打ちなHDDとして値下がりし続けています。
次いで2008年春発売のSAMSUNGの「HD103UI」が、2008年初秋に特価販売で1万円を切り最安となり、そして執筆時点では、2008年夏以降に登場した各社の大容量プラッタモデルも極めて安くなっており、少し高いWD1001FALSを除いて、いずれも底値に近い7000円〜8000円台の価格で購入でき人気があります。
これだけ価格が安くなると、いずれもコストパフォーマンスが良く、容量1TBのHDDはどれを選んでも良いようなものですが、2009年に入って発売されたSamsung製の「HD103SI」、WesternDigital製の「WD10EADS-M2B」、Seagate製の「ST31000528AS」と「ST31000520AS」が1プラッタ500GBのHDDと優れています。
この1TBクラスでも、いよいよ1プラッタ500GBの時代となりましたが、多くが低消費電力モデルであり、パフォーマンスを重視するのであれば、回転数7200RPMのSeagate製の「ST31000528AS」が良いでしょう。
なお日立も、2009年8月に発表したDeskstar 7K1000.Cシリーズで1プラッタ500GBへと移行しており、容量1TBの回転数7200RPMの「HDS721010CLA332」が流通するようになれば、「ST31000528AS」のライバルとなるでしょう。
省電力で静かというコンセプトのHDDは、日立やSAMSUNGの回転数5400RPMのHDDや、WesternDigitalのIntelliPowerのモデルが売れ筋でしたが、速度を売りにするSeagateも、2009年6月に発熱を最小限に抑えた低消費電力ドライブとして回転数5900RPMのBarracuda LPシリーズを発売して参戦しています。
なおIntelliPowerは、回転数5400RPM〜7200RPM可変で自動調整されるという情報と回転数は5400RPM固定との情報がありますが、5400RPMがベースと見た方が良いでしょう。
ノイズレベルが気になる音楽、ビデオなどマルチメディア系のデータを多く保存するために、大容量HDDが必要であることが多くなって、低消費電力モデルが大容量化では先行しています。
容量1TBを超えるモデルは、2008年10月初旬に、Seagateから容量1.5TBの「ST31500341AS」が発売され、1年半ぶりに既存のHDDの最高容量を超え、続いて2009年に入って、Western DigitalがWD Caviar Greenシリーズに容量2TBの「WD20EADS」と容量1.5TBの「WD15EADS」の2モデルの追加を発表し、SamsungからはEcoGreen F2シリーズの容量1.5TBモデル「HD154UI」が発売されています。
さらに2009年6月に、SeagateからBarracuda LPシリーズの容量2TBの「ST32000542AS」、1.5TBの「ST31500541AS」が発売され、日立も2009年8月に、Deskstar 7K2000シリーズの「HDS722020ALA330」の出荷開始を発表しており、これが回転数7200RPMで初の容量2TBとなります。
どの程度の容量のHDDがお買い得かは、1GB当たりの単価で比較して最も安いものがお買い得であり、これまでは最大容量のHDDが登場すると既存の大容量HDDが大きく値を下げるという構図にあるため、その時点で最大容量のHDDは少し割高となっています。
HDDは大容量化が進んでいますが、システムドライブ用としては、容量よりも高速性を重視して選択するというトレンドにあり、HDDに限らずSSD(Solid State Drive)も含めて選択の幅がでてきています。
とにかくデータ転送速度が速いものをということであれば、HDDではWesternDigitalの回転数10000RPMの WD VelociRaptorシリーズが最速ですが高価であり、このところSSDが大幅に値を下げて選択肢となってきています。
しかし、SSDは急速な技術進歩が続いているため導入を急ぐ必要はなく、結論としては、さらに高速なSSDが値下がりするまで少し待ったほうが良いでしょう。
もともとHDDは、長持ちはしても消耗品ですから、耐久性がどうか気になるところですが、新しい製品の耐久性は調べようがないことですし、もう1台余分にHDDを購入して重要なファイルはバックアップを取るなど、むしろ使い方でカバーした方が安心という面もあります。
HDDは、価格変動が大きく、地域のパソコンショップでは秋葉原価格より随分高い価格で販売されている製品もあり、価格が不満であれば、通販ショップの販売価格を比べて、安い店を探して購入すると良いでしょう。
<通販ショップ - HDD >
dospara、 Clevery、 Sofmap、 e-tokka
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