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 ADSL12M速度分析(分析編)

(2003.4.6データ追加)
     
   この分析編は、集計編の集計結果を補足する目的で作成しており、是非とも先に「集計編」をご覧いただきますようお願いします。

 なお、この資料はNTT情報開示システムの修正前のデータに基づき分析してます。最近測定された場合は、伝送損失が従前より低い値となっていることもあるため、修正前では少し高い損失値かもしれないという前提で、割り引いて見ていただきたいと思います。

 各分布図上の曲線または直線は、傾向を把握するためエクセルの近似式で求めており、概ね理論的な平均値を示しています。


1
速度分布図の比較
     
  全集計データのキャリア別速度分布図  (縦軸は速度Kbps)
 
 
   この分布図のX軸は距離、Y軸は速度を表しており、X軸の距離を見て赤い線の位置のY軸の速度を見れば速度水準がわかり、どのサービスが早いのか比べれますが、少し図が小さくて目盛りが読み取りにくいと思いますので、解りやすく表で説明します。

距 離 区 分 速  度  水  準  (Kbps)
Yahoo12M アッカ12M ADSLプラス フレッツモア
1.0 km 7,877 8,064 8,162 7,259
2.0 km 4,674 4,568 4,383 4,148
3.0 km 2,774 2,587 2,353 2,370
4.0 Km 1,646 1,466 1,264 1,354
5.0 km 977 830 679 774

 距離1kmでは、イー・アクセスのADSLプラス、アッカ12Mが速く、Yahoo12Mが少し遅く、フレッツモアはさらに遅く少し差があります。
 距離2kmになると、ADSLプラスが少し遅くなり、Yahooとアッカがいい勝負です。

 また、距離3km以降5kmまでは、Yahoo、アッカ、モア、ADSLプラスの順となり、これ以上遠いとリンクしないおそれもあることから、Yahoo以外は選びにくいようです。
 アッカも遠い距離では、やや持ち直していると思われますが、まだアッカの遠い距離のデータが不足してます。

 元データが同じであり、「集計編」のADSL各社の速度比較表とほぼ同じような結果ですが、傾向としては単純な集計結果よりすっきりして解りやすく、概ねこのあたりが各社の実力のようです。



伝送損失と速度の関係

 
 速度が異なる要因は距離だけでなく、回線品質の良い、悪いなどの問題も影響があり、これは伝送損失という指標で目安としています。

 
 
 全集計データの分布図では、損失の問題が考慮されてないので、損失による差をみてみるため、損失値が平均値以下のデータと、平均値以上のデータと大きく分けて分布をみてみます。

 具体的には個々のデータ毎に損失値を確認し、上図の黒い曲線と比べ下のもの(損失が平均値以下)と上のもの(損失が平均値以上)に分けて分布図を見てみます。


(1) 損失が平均値以下のデータの速度分布図  (縦軸は速度Kbps)
 
 
 
 比較的良い回線での状況ですが、距離1kmではYahooよりアッカが速いのですが、その差はほとんどなく、全体としてはYahooは素質が良いという感じです。
 距離2kmから4kmでは、アッカ、ADSLプラス、フレッツモアの順ですが、全データ分布図と比べると近い距離での速度差が大きくなっており、最も速い遅い業者の速度差は、距離1kmで1200Kbps、距離2kmでも900Kbps近く開いています。

 全体として業者間の速度差は、回線品質が良い場合、つまり伝送損失が低い場合の方が業者によって開きが大きくなるようです。


距 離 区 分 速  度  水  準  (Kbps)
Yahoo12M アッカ12M ADSLプラス フレッツモア
1.0 km 8,645 8,674 8,264 7,450
2.0 km 5,327 5,033 4,832 4,462
3.0 km 3,282 2,920 2,826 2,673
4.0 Km 2,022 1,694 1,652 1,601
5.0 km 1,246 983 966 959



(2) 損失が平均値以上のデータの速度分布図  (縦軸は速度Kbps)
 
 
 
 回線があまり良くない場合ですが、距離1kmでは、ADSLプラスが少し速く、2km以上は全データ分布図と全く同じ順位です。
 しかし、フレッツモアが回線が悪くても落ち込みが少ないようで、全体の速度差は縮まっています。
 またADSLプラスは、距離が遠いと遅いのですが、どうも他社と比べて回線が良くない場合は、近ければ速い、遠ければ遅いという傾向が強まり、より距離にシビアになるようです。

距 離 区 分 速  度  水  準  (Kbps)
Yahoo12M アッカ12M ADSLプラス フレッツモア
1.0 km 7,362 7,338 7,829 6,975
2.0 km 4,183 4,078 4,027 3,812
3.0 km 2,377 2,267 2,072 2,083
4.0 Km 1,350 1,260 1,066 1,139
5.0 km 767 700 548 622



(3) 伝送損失の差による速度の変化  (縦軸は速度Kbps)
 
 個別データの損失値の平均値との差、速度の平均速度との差を分布図に落としてみました。

 例えば距離1.85kmの場合、損失の平均値は、32.8dBであり、平均速度はYahooの場合5053Kbpsです。現実に距離1.85kmで損失28dB、速度5408Kbpsというデータがありますが、この場合、損失の平均値との差は−4.8dB、平均速度との差は355Kbpsです。この一つ一つの損失の差、速度の差のデータを分布図に落とし、損失の高低により速度がどう変化するのか傾向をみています。

 なお下の分布図は、精度の問題と見やすくするため、距離1km以上〜5km未満のデータのみ分布図に落としてます。

 
 
 
 上の分布図を見ると、各社ともまずバラツキが大きいことが目につきます。
 伝送損失はあまりあてにならないのかなとも思いますが、近似式による直線を引いてみると、大きくバラツキながらも、やはり損失が高いと速度はマイナスし、損失が低いと速度はプラスしており、各社のサービスが損失に対して強いのか弱いのか傾向をつかむことができます。

 もちろん上記(1)の「損失が平均値以上のデータの分布図」と(2)の「損失が平均値以下のデータの分布図」とを比較すれば、速度差はある程度わかりますが、この損失の差による分布図では、各社の水準が比べやすいよう考慮しています。

 本来損失値は、理想的な品質の回線における距離を勘案した損失値から、減衰要因を考慮して損失を加算していく、つまり数値は足していくけれども、いわば減点方式で求められるべきものです。しかし上の分布図では解りやすくするため、損失の平均値の速度を0としています。

 上の分布図の青い直線の傾きが問題で、傾斜が緩いと損失に強いということになります。フレッツモアは最も傾斜が緩く、損失値が高くても落ち込みが少なく、次いでADSLプラス、Yahoo、アッカの順です。

 この結果を見ると、Centillium製のADSLチップ(ADSLプラス、フレッツモアが採用)とGlobeSpan製のADSLチップ(Yahoo、アッカが採用)との差があるようで、Centillium製のチップは比較的損失に強いようです。なお速度的にはGlobeSpan製のチップが優位ではと思います。

 しかし傾斜が緩やかであれば良く、急であれば悪いとは一概に言えません。
 平均を0としているため、損失値が低ければ傾斜が急なほうが良く、損失値が高ければ傾斜が緩やかなほうが良いともいえますが、現実には上記(1)の「損失が平均値以上のデータの分布図」、あるいは(2)の「損失が平均値以下のデータの分布図」の速度の方が参考となります。それをベースとして補完して見るのが良いのです。

 つまり損失に弱いといっても、もともとのベースが速ければ、損失を考慮してもまだ速いということもあり、逆に損失に強いといってもまだ距離の割に遅いということがあります。
 損失に強い弱いかは各社の特徴のようなもので、損失が極端に高いとか低い場合に特に参考となるのではと思います。

 下の表を見ると、アッカでは損失が平均値より6dB高いと速度が474Kbps落ち込むという計算となってますが、しかし上の分布図を見ると個々のデータの差が大きくばらついており、現実には個々のデータでは当てはまらない事例が多いのです。
 例えば、損失が平均より6dB高いので、474Kbpsほど平均速度より遅いけれどもやむを得ないのかなというように目安として考えてください。

 なお精度上距離別に分けてないのですが、もちろん増減幅は、距離が近いともっと大きく、遠いと少し小さくなります。
損失値の差 速 度 の 増 減  (Kbps)
Yahoo12M アッカ12M ADSLプラス フレッツモア
平均値 -12dB 827 948 815 622
平均値  -6dB 414 474 407 311
平均値  +6dB -414 -474 -407 -311
平均値 +12dB -827 -948 -815 -622


 NTTの線路情報開示システムの伝送損失の机上計算値は、どのように算出されているのか説明されてません。
 推測すると、
 (1) 線径をもとに線路距離長による損失がまず計算されている。
 (2) 回線の被膜の状況、手ひねり接続の箇所数、ブリッジタップの有無と数で損失が加算され
   ている。
 (3) ISDN回線の収容状況による損失が加算されている。
 のではと普通は考えそうです。

 (1)については、回線距離と伝送損失の分布図をみると、距離も損失の要因となっていることは明らかで、また(2)については、ある程度加味されています。特にブリッジタップについては、NTTの情報開示システム運用当初は同一ユニット内の分岐数を数え、個々の回線での実際の数より多くカウントされる可能性があったのですが、最近システムが修正されています。(接続約款変更の説明資料に図解あり。)

 しかし(3)ISDN回線の収容状況については、損失値の計算には考慮されてないといわれています。

 ISDN回線の収容状況は、すぐわかることで、周波数160KHzはまさにISDNの干渉を受ける帯域ですから、机上計算値に含めてないとするとおかしなことだと疑問に思います。 

 距離に割に損失値が飛び抜けて高く、速度が遅いケースを列挙してみます。

  距離 損失値 平均損失 との差  速度 平均速度 との差 
Yahoo12M 4.50km 73dB 22.8dB  485Kbps  -968Kbps
Yahoo12M 4.74km 72dB 20.8dB  472Kbps  -776Kbps
アッカ12M 3.92km 67dB 19.5dB  484Kbps -1050Kbps
ADSLプラス 3.20km 61dB 17.5dB 1107Kbps -1692Kbps
フレッツモア 4.37km 74dB 24.4dB  707Kbps -862Kbps
フレッツモア 4.49km 68dB 17.8dB  232Kbps -1230Kbps


 距離の割に損失値が飛び抜けて高いケースは、同一カッドにISDN回線が収容されているか、ブリッジタップが多数あるようなケースがまず疑われ、他の回線品質の要因ではこんなに損失値が高くならないように思われます。またISDN干渉の影響が少ないのに、平均速度に比べて相当遅い速度になってしまうとも考えにくいものです。

 前述したように、ブリッジタップの数は実際より多くカウントされていることがあり、それにより損失が高めになっているケースもあるでしょうが、現実に速度が遅い場合は、ブリッジタップかISDN干渉の影響が大きいと思われます。

 これらの損失が高いデータの速度が非常に遅いことについては、やはり同一カッドにISDN回線が収容され、その影響を受けているのではとも疑われますが、損失値の机上計算上はISDN回線の干渉が考慮されてないようです。

 しかし机上計算上は考慮されてないとしても、現実には同一カッドまたは隣接カッドや一つ飛びカッドにISDN回線が収容され影響を受けていることも、もちろんあり得ることです。

 ISDN回線の干渉の問題は、自回線の品質の問題ではなく、例え同一カッドにISDN回線が収容されていても撤去されれば大きな影響がなくなること、またそもそもISDN回線の干渉の影響を受けてない回線は滅多に無いことから、伝送損失の机上計算上含めてないのかもしれません。
 しかし同一カッドに収容されているようであれば相当影響があるので、損失値に反映されるようにすべきではないのでしょうか。

 あまり伝送損失は当てにならないという見方をする人も多いのですが、干渉の問題を抜きにしていれば、信頼度が低下することも止むを得ないことでしょう。

 伝送損失は現実のデータもバラツキが大きく、誤差も大きいと思われますが、全く目安として役に立たないということでもなく、それなりに利用できるものと思います。
 また、この資料はNTTの情報開示システムが修正される以前のデータであり、しばらく間をおいてから、システムの修正により、どの程度信頼度が高くなったのか調べてみたいたいと思っています。

   
3
ADSL各社の速度比較まとめ
(1) イー・アクセスのADSLプラスは極めて近い距離(1km)では速い
 
 近い距離1kmでは、全体的に速いのはイー・アクセスのADSLプラスです。
 「集計編」では距離1.5km未満までを集計してますが、1.5km未満まで含めて集計すると、その結果はアッカが最も速く、近い距離ではADSLプラス、アッカ12M、Yahoo12Mの実力の差はほとんどないと思います。

 ADSLプラスは距離による落ち込みが大きいため、距離3km以上では、フレッツモアよりもやや遅いようです。

(2) 素質的には、Yahoo!BB12Mが最も速い 
 
 これまで距離が遠いとか損失値が高いとか速度が心配な人が、Yahooに申し込むことが多かったのではと思います。
 しかし距離が近い場合でも、損失値が低い場合は、Yahooも速いのです。(伝送損失の精度が低くバラツキが大きいため、現実に損失値の低い個々の回線が必ずしも状態が良いとは限りません。)

 もちろん近い距離では、各社とも実用的に十分な速度がでるので、何も速度だけで選ぶ必要もなく、気に入らないことがあれば他の業者を選べば良いのです。


(3) 距離が遠くても接続する可能性が高いのは、Yahoo!BB12Mとアッカ12M
 
 これまで見てきたデータのうち最も距離が遠いデータは、距離9.1km、損失65dBでYahoo!BB12Mで360Kbpsで接続されている事例です。あまりにも距離が遠すぎるため、バランス上集計除外してますが、この距離と損失でリンクすることは驚きです。

 アッカもYahooも決して損失に強いということではないのですが、やはり上り周波数帯域を下りでも使うオーバーラップ方式を採用しているため、距離には強いのです。アッカの場合は、「集計編」で書いてますが、距離3.5km−4kmの区分はやや弱いのですが、4km以上ではやや持ち直していると思います。

 アッカは距離による損失も含めて、損失には弱いので、距離によってオーバーラップを「DBM(OL)(フルオーバーラップ)」、「XOL」(一部オーバーラップ)、「DBM」(オーバーラップなし)、「FBMオーバーラップ」と4つのモードを使い分けざるを得ないのでしょう。

 Yahoo以外は、まだ距離5km以上のデータは利用者が少ないのでデータ不足ですが、逆にいえば実績の多いYahooが無難ともいえるのです。

(4) 伝送損失が距離の割に高くても落ち込みが少ないのは、フレッツモア
 
 フレッツモアは以外なことに、損失値が高い、つまり回線品質が良くなくても落ち込みが少ないようです。

 フレッツモアの場合、中間距離で損失値が高い場合は、バックボーン回線がしっかりしたプロバイダを選べば、イー・アクセスだけでなくアッカよりも速いということもあり得ることと思います。


 

<おわりに>

 この分析編は、実証分析ですからデータが多くなって、結果も少し違ってきてますので、ご留意ください。また、個々の事例では全体の水準や傾向が当てはまらないことが多いのも事実ですが、ADSL各社の傾向としては、そんなに大きく変わらないと思います。


 このADSL12M速度分析を見て、ご自身の回線がもっと速度が出るはずなのにと思われ、何かトラブルがないか少し詳しく調べて見たいという場合は、ADSL少し詳しい基礎知識というファイルで体系的に説明しています。

 また、ADSL普及期(2002年6月〜2004年12月)に、「今週のトピックス」として毎週掲載してきたADSL関係の記事のバックナンバーを、「ADSL関係のトピックス」に載せてますので、ご覧ください。

私の自宅は、2006年11月にフレッツ光プレミアムに乗り換えており、その機会に<ネットワークコーナー>に改編しており、FTTH情報などはそちらを参考にしてください。


 なお、このホームページ「My Free-style PC」は、他に「PC自作コーナー」、「PCソフトコーナー」、「Windows初心者コーナー」があります。全てのファイルリストは、一旦「HOME」に戻り閲覧できますが、アイウエオ順のキーワードによりパソコン用語・記事リスト」でもファイルが探せますので、ご利用ください。


                            (2003.4.6データ追加修正執筆)

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