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ADSLは、音声通話、ISDN信号より高い周波数帯域を使用しており、距離による減衰が大きく、あまりにも電話交換局から遠いとリンク(接続)すらできないことがあります。
特に、8メガADSLの使用帯域は、1.5メガADSLより高い周波数帯域まで広がっているために、距離が3km以上離れていると、1.5メガから8メガに変更してもそれ程速くならない、場合によってはかえって遅くなるということもあるのです。
それでは、距離によりどの程度落ち込むのか、ということについて少し調べてみました。
いや、そんなことは速度の測定結果でわかると言われるかもしれませんが、現実には、ファイル5を見ていただければおわかりのように、単純に距離に比例して遅くなるのではなく、いくつかの要因が重なっています。
なお、このファイルはYahoo!BB8Mの説明ですが、他の回線キャリアや12Mサービスでも基本的なことは同じで参考になると思います。
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(1)減衰要因とリンク速度の推定式
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- 主な減衰要因
ファイル10で記述したように、ADSLの減衰には、電話回線の状況として次のような要因があり、こうした減衰要因の影響が極めて少ない理想的な回線では、ほぼ距離に比例して減衰するのではないかと思われます。
@ 線径(普通より細いと減衰大)
A 絶縁種類(プラスチック絶縁と紙絶縁とあり紙絶縁の割合が高いと減衰大)
B 手ひねり接続箇所数(数が多いと影響大)
C ブリッジタップの数(ブリッジタップがあれば影響有、数が多いと影響大)
D ISDN回線数(同一カッド内に、ISDN回線が収容されていれば影響強大)
(隣接カッド内、一つとびカッド内の収容でも影響大)
- リンク速度の推定式
LS = 8192Kbps - r * ( B*D*@ + A*D1
+ a*B + b*C + c*D + d*E)
r は、bits/toneをKbpsに換算する係数
Bは、距離によるbit値の減衰係数、@は線径が細い場合の減衰率
理屈っぽく考えてみると、下りリンク速度LSは、
基本的な距離Dによる減衰B*D*@に、
紙絶縁を使用する距離D1による減衰の増加分
A*D1と、
手ひねり接続箇所数Bに応じた減衰の増加分
a*Bと、
ブリッジタップの数Cに応じた減衰の増加分
b*Cと、
ISDN干渉による減衰の増加分
c*Dと、
AM波など外的要因による減衰の増加分d*E
を加味して推定できます。
しかし、こうした変数は今のところほとんど入手不可で、実績データから割り出すことも困難です。そのため、以下の(2)(3)で現実的に測定結果など入手できるデータで検討してみます。
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(2)CarrierLoadグラフと帯域別分布直線<総論>
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- CarrierLoadグラフの帯域別分布直線
理想的な回線の場合、電話交換局から3km離れているとリンク速度はどの程度でるものなのか。また、何km離れているとリンクできなくなるのか。理想的な回線における距離とリンク速度の関係をもし推定できれば改善の目安となります。そういう観点で少し検討してみました。
しかし、現実の回線は何らかの問題点を抱えており、実績データから全ての減衰要因を除外し分析することは困難です。
ADSL信号は、周波数が高い帯域は遠くまで伝わらない性質があり、周波数の帯域別に伝わっているのかどうかCarrierLoadをみることが参考となります。
CarrierLoadグラフの帯域別分布直線(図1の緑の線)は、最もbit値の高いところを結んでおり、この直線が距離が遠いとどうなるのかということがまず手がかりになるのではと思います。
- 帯域別分布直線の意味
図2は、ファイル5のCarrierLoad分析表の回線距離別の帯域別分布直線の平均値です。まだファイル5自体のデータ数が十分ではないこと、正確な距離(線路長)が把握されているデータばかりでないため、距離の区分を大雑把にし傾向をみてますが、本来は、距離に比例して動くものです。
また、本当にこの直線がベストの状態なのかといえば、DISDN回線の干渉や、外からノイズとして加わるAMラジオ波などの影響は除かれているとしても、@線径、A絶縁種類、B手ひねり接続箇所数、Cブリッジタップ数など本来の回線品質による減衰要因は含まれたままです。
つまり、帯域別分布直線はCarrierLoadグラフの最もbit値の高いところを結んでいても、理想的な回線の状況ではなく、もともとの回線の品質にかかる減衰要因は除かれてないのです。
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(3)減衰要因の帯域別分布直線への影響<各論>
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- 回線品質上の問題
@線径、A絶縁種類、B手ひねり接続箇所数の影響については、特定周波数に影響を与えるものではなく、全帯域に影響があるものと思います。
つまり、前述の帯域別分布直線でみれば、距離が2kmでも@線径が普通で、A全てプラスチック絶縁で、B手ひねり接続が少ないような品質の良い回線では帯域別分布直線が1.5km並で、逆に品質の悪い回線では、帯域別分布直線が2.5km並になるようにシフトしているのではと思います。
もっと簡単に言うと、品質の悪い回線では、距離が実際の距離より長いようなものです。NTTの回線調査の説明もそのような書き方がされてます。
- ブリッジタップ外しの効果
減衰要因のうち、@線径、A絶縁種類、B手ひねり接続箇所数は容易に改善できないことですが、ブリッジタップは費用がかかるものの取り外すことが可能ですから、ブリッジタップがない場合の状況が把握できると良いのです。
最近ブリッジタップを取り外した例はちらほらありますが、ブリッジタップ外し前後のCarrierLoadの測定データのグラフは、一例しかみてません。この例では、帯域全体に少し改善され、CarrierLoadのbit値の取得できる帯域幅が広くなっています。400khzから700khzぐらいまで取得できなかったのが改善されており、下り帯域、特に高い周波数帯域が回復していることが目につきます。
ブリッジタップの影響は、ブリッジタップから伸びている余分な回線からの反射波が問題のようで、ブリッジタップのある位置、余分な回線の長さにより影響の度合いや影響を受ける周波数帯域が変わるようです。でも通話帯域やISDN帯域では問題とならないようなので、下りADSL帯域、中でも比較的高帯域への影響が中心ではないかと思います。
現実には、ブリッジタップがある場合、一つとは限らないこと、また他の@線径、A絶縁種類、B手ひねり接続が要因の場合は、特定の周波数帯域がへこむ理由とはならないのではということから、距離が近いのに、取得できる帯域幅が狭く、特に高周波帯域が全く取得できない場合はブリッジタップの疑いが強いと思います。
つまり帯域別分布直線では、もう少し高い周波数帯域までbit値が取得できるはずなのに、というケースがブリッジタップが疑がわれる典型的な例ではないかと思います。(事例が一つでは、所詮推論です。今後ブリッジタップ外し前後のCarrierLoadデータが入手できれば、確認していきたいと思ってますので、自分で測定した、あるいは見かけたという場合は、情報提供をお願いします。)
- CarrierLoadグラフの変化の事例
図1は、私のモデムの2回の測定結果ですが、このリンク速度が1,024Kbpsから1,280Kbpsにアップしたことに思い当たる事が無いのです。
しかし、図1を良く見ると、@使用帯域幅が両方ともキャリア#159止まりで高い帯域幅に広がったわけではないこと、AISDNの干渉帯域での改善が目につきます。つまりキャリア#90〜#110で、赤い棒グラフがないのに青い棒グラフある、あるいは青い棒グラフの値が高くなっており、この#90〜#110の帯域での改善が、リンク速度アップの主因です。
同一カッド内には、ISDN回線は無いと思いますが、同一ケーブル内に収容されていたISDN回線が廃止された可能性が高いのではと思っています。
ISDN干渉について詳しくは、再度ファイル10の後半を参照してください。
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<まとめ>
リンク速度やCarrierLoadを見て回線の状況が悪いようでも、では対策はといえば、ブリッジタップ外しか回線の収容替えしか改善の手段が無いのが現実です。将来的には、エリア的に電話回線が改修されたり、ISDN回線が減っていったりということはあるでしょうが、所詮受身の話です。
しかし、ブリッジタップ外しや回線の収容替えにより改善の効果があるかどうか目安をたてるためには、やはりリンク速度を測りCarrierLoadを見るよりないのです。
整理すると、もともと距離が遠すぎる場合は、残念ながら改善効果は少ないのです。表3や、ファイル5やファイル6が目安の参考になると思います。
ISDN干渉は、その干渉帯域が普通より大きく落ち込んでいるかどうかです。ファイル5でCarrierLoadデータが入手できたものは相対比較しています。
ブリッジタップの影響は、表3と比べてbit値を取得できそうな帯域であるのに、低い帯域までしかbit値が取得できてないというような場合が問題です。ただし、回線品質が悪い場合は、実際より長い距離の上限値と比べる必要があります。
もちろん疑わしければ、回線キャリアを通して回線調査を依頼すべきです。
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